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【アニメ感想】泣きたい私は猫をかぶる(評価レビュー:B+)

泣きたい私は猫をかぶる、視聴完了。考察というか、感想や評価を書いていく。

 

「泣きたい私は猫をかぶる」は、Netflix独占配信のアニメ映画である。元々は劇場公開を予定したが、コロナの影響でNetflix独占配信に切り替えたらしい。気合入っている作品の割には、ネット上の評価はまずまず。私の評価もまずまず。

以下総括。

  • クセが無く、分かりやすい設定で万人向け。
  • 作画のクオリティは高い。
  • ただ、本作のオリジナリティが伝わらない、登場人物たちが好きになれない、物語のルールがよく分からない、などを感じ、総じてしっくりこない

アニメ制作会社は「スタジオコロリド」。2018年に”ペンギン・ハイウェイ”を制作した会社と言えば伝わる人も多いだろう。気合入ってたし、面白そうな雰囲気が漂ってたんだけど、実際に観ると何かしっくりこなかった。でも、悪い作品というわけでも無いんだよなぁ。

nakineko-movie.com

 

「猫になれるお面」を手に入れた女の子のお話

自由奔放で明るい中学二年生の女の子が主人公。夏祭りで不思議なお面屋に出会い、「猫になれるお面」を手に入れる。主人公の女の子には、好きな男の子がいるものの相手にされず。ただ、実は、猫になった主人公は男の子から可愛がられているのだった。

お面屋からは「人間のお面をくれたら、完全に猫になれるよ」とそそのかされるも、拒否。ただ、複雑な家庭環境、好きな子には相手にされず、で結果的に猫になってしまった。

そこからは、女の子も男の子も周りも本当の気持ちに気付き始めて、”人間のお面”を取り返しに行く、というお話。

ほとんど内容を話してしまったようにも思えるが、まぁわかりやすい設定である。こういう点は、視聴者にも受け入れやすい。が、もはやオチは分かり切っているというか、ハッピーエンドが約束されているような気もして、観ていて刺激は足りなかったように思う。本作のオリジナリティは伝わらなかった。

 

作画のクオリティは高い

非常に繊細なタッチの背景・作画。キャラクター達の動きや表情は生き生きしている。他の高クオリティ作品と比べても全く遜色ない。

ただ、やはり作品の面白さって”クオリティ”だけじゃ引き出されない、ということがよく分かった。

 

登場人物たちが好きになれない

まず、主人公の女の子(ムゲ)。

中学二年生とはいえ、あまりに非常識な言動が多い。想い人の男の子から拒絶されてもめげない無頓着さ。ビジュアルが良いから許されているが、実際にいたら非常に厄介である。こういうタイプは、無自覚に他人に迷惑を掛けるのだからタチが悪い。

そして、恋に盲目過ぎる。思春期真っ只中だから、ということもあるだろうが、もう少し「自分」というものを持ってもらいたい。相手に依存せずに生きていってほしい。

あと、ムゲのラブレターを公衆の面前で読み上げた同級生。これはいくらなんでも非ひど過ぎる。観ていて嫌な気分になった。

総じて、思春期の若者たちの描写が安直というか直線的すぎる印象を受けた。この点が、本作の登場人物たちを好きになれなかった理由だ。

 

物語のルールが曖昧

(以下、若干ネタバレします)

一度、人間のお面を渡してしまうと、”時間が経ったら”完全に猫になってしまい、人間に戻れなくなってしまう(+寿命も取られる)、という設定。

こういう設定は、「このままだと完全に猫になってしまう・・・!」とか、視聴者にハラハラ感を持たせる効果を狙っているのだと思う。んが、”時間が経ったら”と曖昧な尺度であり、視聴者としてはハラハラしてよいタイミングがよく分からなかった。「人間のお面を渡してから24時間後」とか、きっかりデッドラインを示すべきではないだろうか。

また、心理的な理由で人間のお面を渡してしまったのだから、主人公が自分自身の精神的な何かを乗り越えた先に、人間のお面を取り戻す、というのが王道ではなかろうか。ただ、本作では、人間のお面を返すまいとするお面屋と主人公たちが物理的に肉弾戦をしている。しまいには、お面を渡してもいない男の子から、お面屋は力業で寿命を取ろうとする。お面のやり取りをしていない人に干渉できるとか、もはや反則に近い。

果たして、この物語のルールは何だったのか、最後まで曖昧なままだった気がする。

 

 

クオリティが高く、万人受けを狙った結果、特に心に響かない作品になってしまったような印象。でも、決して悪い作品ではないので、気になった人は観てみてもらいたい。(そして、もし、本記事に共感してくれたら私は嬉しい。)

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

  • 発売日: 2019/12/01
  • メディア: Prime Video