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【アニメ感想】ヨルムンガンド(評価レビュー:A-)

ヨルムンガンド、視聴完了。考察というか、感想や評価を書いていく。

 

ある程度重めというか、しっかりしたアニメを観たいなぁと思っていて、前からdアニメストアの”気になる”に登録していた「ヨルムンガンド」に目が行った。ネットで評価を調べてみたら結構良かったので、視聴開始。以下総括。

  • 高クオリティが求められるミリタリー系としては、及第点クラスのクオリティ。
  • アニメーション・作画は、悪くないんだけど若干ケレン味が足りないか。
  • 尻上がりで後半に行くほど見応えがある。

と総括しつつも、このアニメの評価は結構難しいと思った。心を掴まれそうだし、こちらもこのアニメにハマる準備は出来ているんだけど、なかなか決定打に欠けると言いますか。いや、決して悪くは無く、むしろ良い方なんだけど、うんたら、みたいな。

ちなみにヨルムンガンド」とは北欧神話の毒蛇である。別称として、ミドガルズオルムとも呼ばれており、FF好きとしてはこっちの方が馴染みがある。


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武器商人のお話

舞台設定は現代。若き女武器商人”ココ”の私兵に元少年兵の”ヨナ”が加わるところから物語がスタートする。各地の軍などに武器を売っていくことを生業としながら、世界各国を旅していく。所謂ガンアクションものである。

よく比較されるのは「BLACK LAGOON」だが、ヨルムンガンドは全体的に雰囲気はポップで、物語のスケールは大きい。BLACK LAGOONよりヨルムンガンドの方が好き、という声も結構聞くが、納得できる*1

 

及第点クラスのクオリティ

ミリタリー系は結構クオリティが高くないと作品全体がチープになりやすいと思っているので、アニメーションや作画に求められるハードルは高いと考えている。ヨルムンガンドは、一般的なジャンルであれば特に文句はないんだけど、ミリタリー系として考えるともう一歩か。線画が単調で面白みに欠ける感じ。引きの絵なのに線画が太くてのっぺりした印象を受ける場面もいくつかあった。キャラデザも特出しているわけではない。というか各キャラのアゴの長さが気になってしまう。

アニメーション制作会社は「WHITE FOX」である。シュタゲとかを制作している会社だが、脚本とか構成とかは良いんだけど、作画関連が微妙なものが多いんだよね。(でも2010代後半からの作品は結構作画も良い気がする。)

 

サブキャラ達にもフォーカスを当てている

主人公とヒロインが無双するよりも、サブキャラ達が確りと映えるアニメが好きなんだけど、ヨルムンガンドはその点が良く出来ている。最初は、サブキャラ達の見た目が地味な割に人数多くてどうなることかと思ったが、ちゃんと各キャラにフォーカスを当てたストーリーが繰り広げられる。

取って付けたような話ではなく、1人2~3話を使用しているところが好印象。また、そのサブストーリーがメインのストーリーにもリンクするように作られているところも良い。

 

評価の分かれ目はココのことを好きになれるかどうか

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大抵の人は本作に大して「良作」と言うだろうが、良作以上と答えた人は、おそらく女武器商人のココ(もしくはヨナ)のことが好きなった人だろう。この「ココ」が良いキャラしていると思っていて、若い女武器商人であり、合理的に物事を考えて、敵には子供だろうと容赦しない。一方で、味方にスパイがいたことに気付いた時には、「他の人には黙ってるから仲間でいて欲しい」と言うなど、年相応の幼さや甘さも兼ね備えている。

そして、最後の「ヨルムンガンド計画」自体もある意味ココの幼さからくるピュアな思想から生まれてきたものではないかと感じている。

 

クライマックスの「ヨルムンガンド計画」

(以下、がっつりネタバレします)

126基の人工衛星量子コンピュータを用いて、”空の利用”を禁止し、流通を止め、全人類の行動を制限させる、という「ヨルムンガンド計画」。武器商人でありながら、人類の争いを止め、武器を無くしたいというココのある意味ピュアな思いから生まれた計画である(と思っている)。

「世界の神になる」的な思想に近いと思っていて、そういうことを考える終盤のココはもはや常人ならざる者になっている。作中では「怪物」と呼ばれていた。人間の身の丈以上のことをすると必ず破滅のエンドに向かうと相場が決まっているのだが、ちょっと感動したのは↓のシーン。

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兄であるキャスパーに「本当にこの世界から武器が無くなると思っているのか?」と問われた時のココの動揺した表情。この演出があることによって、ココがただ狂っているのではなく、考え抜いて出した結論がヨルムンガンド計画であるものの、その計画は100%の自信があるものではないことを示唆している*2。つまり、”狂気”で突っ走っているわけではなく、”正気”であると。この点は、粋だな、と思いました。

最終的に、より世界が混沌となり、第三次世界大戦が勃発する直前に「ヨルムンガンド計画」を発動したところで物語は終わる。たぶん、上記の演出が効いていて、うまくいくかは誰も分からないけど、”今の世界よりかは良くなる”という希望を持ったクライマックスに持って行った。発動後の物語も見たかったけど、ある意味良い終わり方をしたかなと思いました。

 

全登場人物の目のハイライトが無い

2クール目で気付いたんだけど、このアニメ、全登場人物の目のハイライトが無い。なかなか面白い取り組みである。

作品の終盤、ココがヨナにヨルムンガンド計画を打ち明ける時にココの目に初めてハイライトが灯った。突拍子もない計画と共に目のハイライトが入ることにより、より”狂った”ように魅せることが出来ている。2クールかけた粋な演出だと思ったと共に、それに気付いた自分を褒めてあげたい。

 

 

結構作品全体を褒めている気もするけど、やはり決定打に欠ける。せめてOPかEDのどれかが特出してくれれば全体評価も変わったかも*3。まぁ、2クールでうまく収めた良作でございました。

*1:でもBLACK LAGOONはOPが反則だよなぁ。あんなん一瞬で心掴まれる。

*2:考えすぎかな?

*3:でも決してOP・EDも悪いわけではないんだよねぇ。