【アニメ感想】乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(評価レビュー:A+)
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…、通称「はめふら」、視聴完了。考察というか、評価や感想を書いていく。
あまりオンタイムでやっているアニメは観ずに、完結している作品を観ることが多いのだが、AmazonPrimeVideoの評価が良かったので、ひとまず第1話視聴。4話まで追いかけたところで、これは絶対面白い作品になると思い、最終話が配信されるまで我慢をした。以下総括。
- 無駄な話がほぼ無く、隙が無い作品。非常に良く出来ている。
- 万人におススメできる。というか布教したくなる作品。
- 周りを幸せにしていく主人公に視聴者も惹かれていく。
小難しい評論とか理屈とかアニメーションや作画がどうだとか、そういうのを抜きにしてただひたすらに心底面白いアニメ。大満足である。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した主人公
まぁアニメタイトルの通りである。本作は異世界転生もの。転生元世界でやっていた乙女ゲームの世界、さらに厄介なことに乙女ゲーム内の破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまう*1。ただ、主人公はある程度この乙女ゲームをやっていたため「過程」と「結果」は知っている。そのため、その過程を辿らず、結果を変えるために奔走する物語。
悪役令嬢設定のキャラに転生するも主人公自体は良い人のため、自然体で各キャラと接していくうちに結果的に人望を集め、周りを幸せにしていくという流れになっていく。
正直、想像力豊かな中学生でも考えられそうな設定だが、それが良いんだよ。誰も傷つけず、全員が幸せになる、というか幸せにさせていくというストーリーに、自身の中にわずかに残っている中二心みたいなのが震えていく。
意外と丁寧な作りこみ
本作、特別に作画がすごいわけではないが、一切くずれず高水準の安定した作画を提供している。特に背景については水彩画タッチを多用しており、キャラクターが一般的なアニメ塗りなのに対して、水彩画背景によって色合いが淡白にならず鮮やかになり深みが増している。
キャラデザに関しても特別秀でているわけではないのだが、一点、主人公がデコキャラというところは思い切りが良く非常に好感が持てる。
無駄の無い展開、隙の無い作品
冒頭の4話分で各登場人物の紹介が終わる。冗長でもなくうまくまとめていてテンポが良い。5話からキャラ紹介路線から外れていき、物語の中枢へと移っていくという無駄の無い展開。
物語の最終局面に入る前に、他作品でも良くある閑話休題があるのだが、この話も主人公のカリスマ性というか人望を高める結果となり、視聴者はより主人公に思いを寄せることになる。クライマックスに向けて良い準備をしてきた印象。
視聴者に対するターゲットもうまく出来ている。乙女ゲームが舞台のため、男性キャラが多く女性視聴者が惹きつけられるのはもちろんのこと、女性キャラも同様の活躍の場は用意されており、何より女主人公の人間味あふれる振る舞いに単純な男視聴者たちは容易に釣れるのである。
転生元世界の描写
異世界転生ものでは珍しく、転生元の世界の描写が結構ある。かつ、ストーリーを進めていく中で重要な役割を持つ。しかも、主人公目線ではなく、主人公が転生元世界で親友だった友人目線で描かれているのも特徴。非常に目新しい展開。
転生元世界を描くことで本作の世界観が拡がっていく。ただ、違う世界観を同一作品で表すには難易度が上がるが、転生先世界とうまくリンクさせていた印象を持つ。
転生先で人望を集めていた主人公だが、転生元でも人を惹きつける描写がある。これにより主人公のキャラ設定の納得感が増すという結果になり、これまたうまく転生元世界を利用している。
ラストについて
この作品はラストに向かわずとも十分に面白い作品であることはわかったので、あとは期待通りの大団円を迎えてくれれば良かった。
終盤、ラスボスのストーリーとなるのだが、このラスボスを救済したところで物語が終わりになってしまうのではないかとヒヤヒヤしたが、確りと最終回のBパートで主人公メインの話となり大団円を迎えた。最終回のAパートでエンディングであればかなり残念な結果となっていた思う。やはり、こういうところが隙の無い作品である証拠になっている。
本当に本作は「面白い」の一言に尽きる。天下を取りに行ったような金と時間を掛けた作品*2のようにも思えなかったのだが、そのような作品の中では最高ランクの評価を付けたい。
2021年に二期が決定しているらしい。正直、本作でキレイな着地をしたので、良い思い出として終わらせておきたい気もするし、二期も観てみたいという気もするし、非常に悩ましい感情がうごめいている。
毎年1体、1万越えのフィギュアを買っているのだが、本作の主人公「カタリナ・クラエス」が現状最有力候補である。*3