【アニメ感想】ゴールデンタイム(評価レビュー:B+)
ゴールデンタイム、視聴完了。考察というか、評価や感想を書いていく。
会社の同僚から「観てほしい」と数度言われ視聴開始。同僚曰く、”ラストが許せない”とのことでそこに関して私の意見が欲しいとのことだった。つまりは物議を醸すような着地をするのだろう。どのようなベクトルの許せなさなのか、予想しながら観ていきたい。私としては良い感じの作品だったと思う。
以下総括。
- J.C.STAFFらしい安定したそこそこクオリティ
- 全体的に中だるみを感じさせず、ラストに向けたラブコメらしいストーリーの緩急、およびキャラ配置のバランスの良さから総合力が高い
- そして今回お目当てのラストは、、、(後述)
記憶喪失男とストーカー女の話
私立福来大学の新入生である主人公・多田万里と加賀香子を中心とし、その周りの人物も織り成す、大学を舞台とした ラブコメディ。万里は、高校の卒業式の少し後に橋から落下した事故の影響で、高校卒業以前の記憶を失っている。
上記はWikipediaから引用させてもらった。その主人公と友人の前に美人のヒロインが現れるところから物語が始まる。このヒロインの香子は友人(やな)のストーカーであるわけだが、主人公はその2人のやり取りに巻き込まれつつ間を取り持ったりする。そしてうまく事が運ばない香子が不満を零すのだ。ただそれを主人公が気にかけてあげる。
んーなんというか、顔が良かったとしてもそういう人とは距離を取った方が良いぞ、と思ってしまい、早々に視聴継続が厳しくなった。
ヒロインの成長
本作のテーマの中で一番響いたのは「ヒロインの成長」であった。上述したようなストーカー女ではあったが、その後の展開で早々に成長が見られた。これにより視聴継続のハードルが低くなったとも言える。ストーカーを卒業した後もそこそこの恋愛依存体質っぽい流れを汲むことになるが、今までの狭い世界から抜け出し、他者にも興味を持ち、自分がしてあげられることは何か、を不器用ながらも自身で考えて行動していくようになる。
健気なんだよ、彼女は。*1
「とらドラ!」の継承・総合力の高さ
本作、原作者は「竹宮ゆゆこ」。つまり「とらドラ!」である*2。
アニメ製作スタッフもJ.C.STAFFでとらドラ!関連者が多いとのこと。放映当時のとらドラ!旋風はかなりのものがあったので、否応なしに期待が出来る。
物語の肝となるのは主人公の「記憶喪失」であるが、こんなのは昔々に擦りまくった設定であり、若干”安っぽいかな”と思ったのだが、寧ろ一周回って普通に受け入れられた気もする。
全体的な流れとしては、2クールなるも中だるみはあまり感じさせない作りになっている。かつ、基本的に主人公一本で物語を進めていたところは評価したい。人間関係の心理描写は繊細かつ大胆な魅せ方をしていて、キャラクターたちの強い意志を孕んだ言葉の応酬もあり、やはりとらドラ!の流れを汲んだ良さが見えた。および、ラスト数話からアクセルを全開にしてきたこともとらドラ!らしい部分があった。
メインの登場人物については必要最低限に絞っていて、主人公中心の物語の軸がブレることの無いようにしている。このキャラたちはそれぞれ担うこと(例えば、二次元君は物語の調整役など)がはっきりしていて、効果的に役割を発揮している(と思っている)。だからこそ、サブキャラたちの外伝的な話が数話あったらなぁ、とも思った。
そして肝心のラストは…
※以下がっつりネタバレします。
同僚が”許せない”と豪語していたラスト。果たしてどのようなものなのか。
主人公が事故にあって記憶喪失という設定なので、もしや夢オチ?とか思ってしまったのだがさすがにそんなことはないだろうと途中から感じた。では、想定外のヒロインに着地する?*3
私は結末を予測しながら観ていたつもりであるが、序盤は香子なのかリンダなのかは予想付かず、中盤は最終的に記憶を取り戻してリンダという元の鞘に収まる「true tears」方式になるかと思ったが、終盤ではその記憶を取り戻した上で香子を思い出して結ばれる、という流れで満場一致していたと思う。
なので、同僚の言葉から察するに、その満場一致の着地をしないのだろうと思っていた。最終話、その着地に向けて一つ一つクリアしていき、残り時間を意識しながら、「一体…ここからどんなことが起きるんだ…」と盤上がひっくり返ることにヒヤヒヤしながら観ていたわけだが、、、
「・・・あれ?終わっちゃった。」
そう、そのまま終わっちゃったのだ。満場一致の結末に。
あれ?どういうこと?同僚の”許せない”は果たしてどこに…?
これは私の感受性がおかしいのだろうか、とにかくこの真意を確かめるため同僚に会議案内を送った。同僚のように”許せない”と思った人はどういう気持ちだったのか教えてほしい。
という感じではあったが、この作品自体は結構良く出来ていたのではないかと思う。ラストシーンについて、主人公同士・リンダの橋の上でのやり取りに関してはおそらくは様々な解釈(失くしたはずの指輪とか)が出てくるとは思うが、そこは考察好きの人たちにお任せするとして、私としては納得のいく着地であった。
また、久々に堀江由衣を存分に味わえたところも良かったですね。