【アニメ感想】デカダンス(評価レビュー:A)
デカダンス、視聴完了。考察というか、感想や評価を書いていく。
1クールで、最近放送されたもので、軽くなく、そこそこ真面目な、まぁまぁ高評価のアニメを探していたところ、デカダンスに辿り着いた。うん、評価通り、観て正解でした。以下総括。
- 全体的にポップで、アニメーションも躍動感がある。
- 作り込まれた設定の割に、確りと1クールで物語を収めた。
- ただ、全体的にクオリティが高いだけに、間々ある安い展開が悪目立ちする。
確実に、観て損は無いだろう。ただ、名作になり損ねた感はある。制作会社は、幼女戦記とかの「NUT」。納得のクオリティ。
ちなみに、「デカダンス」とは、フランス語で”退廃的”とかそんな意味らしい。
実は重い設定
正体不明の怪物に人類が追い込まれ、ほぼ絶滅。文明が崩壊し、生き残っている人間は、動く要塞(デカダンス)みたいなところでひっそりと暮らしている。人々はそれぞれ職を持っており、主人公の父は怪物を倒す役割を担っていた。ただ、主人公が幼い時に父が戦死。それにより、主人公は父と同じ道を志す。
・・・というのが表向きの設定である。
早々に第2話から衝撃の事実が分かるのだが、こういう設定って子供の頃似たような妄想をしたことがあるよね。人類・地球は、壮大な”シミュレーション”の一部だ、みたいな。
結構重い設定だとは思うのだが、画とノリがポップであるので、設定ほどの重さは感じない。
世界観は確りと作ってきていて、全体的に”デカダンス感”がある。デカダンス内は増築を重ね続けたダンジョン。こだわりを見せてくる作品はダンジョン的なの好きだよね、映像研とか。水筒とかの小物も時代背景に合わせている。こういう細かいところも作り込んでいるのは良い作品の証拠。
全体的にポップで、躍動感のあるアニメーション
本作は、色合いやキャラデザ*1がポップであり、影が少なめに色付けされている*2。ということは、動きの魅せ方を重視しているわけであり、表情も豊かなのも相まって、非常に躍動感があるアニメーションになっている。
また、3Dを多用しているが、元々の線画が淡白にしてあるので、3Dから2Dに落としても違和感がほぼ無い。
時折見せる安い展開が残念
本作は、設定が面白い、アニメーションも味がある、そして壮大な物語を1クールに確りと収めているなど、褒めるところは多いのだが、時折見せる安い展開が残念でならない。
例えば、いがみ合っていた仲間が、ピンチの主人公を庇って攻撃を受け、「仲間がやられるところは見たくない」とか安いセリフを放つ。別にそんなに悪い展開ではないんだけど、この作品でこんなシーンは見たくなかった。急に脚本にチープ感を感じてしまった。
そして、一番気になったのは、裏切りそうな仲間が案の定裏切ったシーン。さらに、ピュアな仲間をそそのかして加担させるという始末。
せっかく、物語や登場人物たちがアツくなってきて、視聴者たちもテンションが上がってきているのに、仲間の裏切りで水を差してほしくない。しかも、安っぽい仲間が安い裏切りをする。どうせうまくいかないのは目に見えている。こういう展開をするならば、裏切らなそうな奴が裏切って、本当にバッドエンドに行くんじゃないかと思わせるくらいでないと、と思う。
本作は、目新しい作画や設定なのに、どこかで見たようなコトをしてほしくなかった。
クライマックスの是非
(以下ネタバレします)
人間が真実を知るとき、「人間 vs サイボーグ」という構図になるだろうと思っていたのだが、そうはならなかった。サイボーグとしても、”システム”という人間との共通の敵を出現させて、人間が真実を知らずとも共闘をする、という流れになった。
たぶん、本作で観せたかったのは、真実に翻弄される人間ではなく、人間だろうがサイボーグだろうが関係なく、「あきらめない心」なのだろうと思う。
ラストは、王道とも言える終わり方だった。共闘した人間とサイボーグの総力戦と大団円。新鮮味が無いと言えば無いが、これはこれで盛り上がったのではないかと思う。
一言物申したいのは、ラストシーン。”システム”との決戦の3年後が描かれており、人間とサイボーグが普通に共存している。ただ、人間側から見るとサイボーグに対して思うところはすごくあるはずだ。もう少し、その葛藤を見せた上で、「一部は共存出来始めている」くらいに留めていた方が、納得感があったと思うんだよなぁ。
総じて良かったのだけれど、名作になり損ねた感じか。ただ、制作会社のNUTは良い作品を作ると改めて認識したので、今後も期待したい。