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【膵臓腫瘍(SPN)】嫁さんの膵臓に腫瘍が見つかった(その①:腫瘍発見~手術決定まで)

2019年末に受けた人間ドックで嫁さんの膵臓に腫瘍が見つかった。

(その①:腫瘍発見から手術決定まで)

自分自身の整理のため、あと配偶者の立場から見た状況を書くので、同じ境遇の人の何かしらの参考になればと思う。

腫瘍発見から手術までの時系列と思ったこと(病院選び、術式等)を書いていく。やっぱりね、「健康診断」って大事だと改めて思ったよ。

ちなみに病名は「SPN:Solid pseudopapillary neoplasmである。日本語名は無いっぽい。比較的若い女性に出来やすいそこそこレアな病気らしい。悪性率は低く、今のところ良性とは言われている。痛みなどの自覚症状は無し。

 

<目次>

 

【家族構成】

一応、家族構成を書いておく。一般的な4人家族。全員、今まで大病を患ったことはない*1

  • 俺:アラサーSE
  • 嫁さん:アラサー専業主婦
  • 娘:3歳児。元々なのか幼稚園組だからなのか、おてんばで何も言うことを聞かない
  • 息子:0歳児。昼も夜もとにかく泣く。離れると泣く。かと言って抱っこすると肩を噛んでくる。んで下ろすと泣く。

 

【ざっくり時系列】

 

2019年末(人間ドック受診)

専業主婦の嫁さんは会社を退職して数年経ち、その間簡易的な健康診断すら受けていない。別に元気だけど30歳になるし人間ドックでも受けておくかー、という話になり2019年末に受診予約。

結構混んでいるようで電話した日から1か月後の日付で予約ができた。この人間ドック、私も30歳になったときに同様の検診を会社で受けているが自費だと5~6万程度かかる*2。たっかいなぁ・・・と思いつつも、まぁ安心を買うということで着地。

 

2020/1(受診結果)

嫁さんからの一言。

「受信結果届いたんだけど、覚悟して見て。」

えっ・・・という感じであったが、結果「D2:要精検」。いや、要精検くらいだったら、周りにもいるのだが、「石灰化を伴う大きな膵腫瘤像(径74.5mm)が見られる。要精密検査。」そして紹介状もあるという始末。一瞬7ミリかと思ったが、7センチである。握りこぶしくらいの何かがお腹の中にあるって大事じゃない?

というわけで、近くの大き目の病院を予約。

 

2020/2(精密検査)

予約していた病院に行くと、「これは・・・検査できる設備がウチには無いなぁ・・・」と言われ、近くの大学病院を紹介される。

ここからは検査に次ぐ検査である。

あまり細かくは聞いていないだが、尿検査や血液検査、腹部エコー、内視鏡特殊検査等々を2ヶ月近く週1ペースでやっていくこととなる。

特に検査で用いる「造影剤」で問題が起きた。CT画像などで見たいものを見やすくするために投与するものであり、分かりやすいところでいうと胃のバリウムも造影剤の一種だ。造影剤には人によって副作用が出ることがあり、嫁さんはその副作用がひどいほうだった。検査後、頭痛発熱悪寒で寝込み、夜中に手足が痺れ、背中も痺れてきたようでここで救急車を呼んだ。明け方には収まったものの、次回からは事前にアレルギー対処の錠剤投与や点滴等で対処することになる。

ここで一番ツラかったのは、この体調不良が造影剤の副作用であることに気づくのが遅れたことである。毎回、検査後の夜に発症していれば気づけたのだが、日によって発症するのが数日後であったりもした。てっきり、腫瘍のせいか、それとも精神的なものかと思っていたので、体調が悪くなるたびに「ど、どうしよう・・・」と毎回アタフタしていた。体調の悪い日を整理して、造影剤の副作用の説明用紙も改めて確認して合点がいった、という経緯。そもそも造影剤の副作用が起こる人は稀なのだが、この腫瘍自体も稀な病気なので、もはや、である。

 

2020/3(病名判明、手術日調整)

いろいろ検査した結果、あまり親身でないらしい担当医からは以下のコメント。

  • 病名「SPN」。若い女性に多い病気で年齢的にも合致。
  • 年齢の割にかなり大きい腫瘍(8センチ)。
  • おそらく良性。ただ、悪性に変異する可能性のある腫瘍かと思われる。
  • 小さければ経過観察でもよいが、ここまで大きいと手術して取ったほうがよい。

悪性腫瘍、所謂がんでなくて一安心。ただ、「悪性に変異する可能性のある腫瘍」と言われた時点で手術一択というところは嫁さんと意見合致。「手術する覚悟は出来ている」という嫁さんの一言に、やはり女性には敵わない、と思う次第。

ここから、手術をどのようにするか、を決める段階に入ってくる。

この膵臓の腫瘍の状況として、いくつか手術の選択肢があるのだが、詳細は後述する。手術に関して、相変わらず愛想が無いらしい担当医からは以下のコメント。

  • 膵臓の尻尾の方に腫瘍があるので、「膵体尾部切除」になる。
  • 膵臓脾臓は血管が繋がっていて、手術のリスクを下げるため脾臓は全摘出する。
  • 脾臓は取ってしまっても基本的に問題は無い。
  • 術式はリスクの少ない「開腹」で行う。

この話を聞いて、私たちは「なるほど。。そういうものなんですね。。」と思ってしまったが、今考えるとこの時点でもっともっと自分たちで調べて、確りと担当医と話し合っておけばもう少し早めに納得のいく手術方法を決められたと思う。

もろもろの都合により、手術は5月の下旬に決定。私は今まで検査や説明に立ち会っていなかったのだが、手術1週間前に家族含めた手術前説明をするということで同席予定。

 

2020/5中旬(手術前説明)

私は休職を取り、家庭としても万全の態勢で手術前説明に行った*3。私は初めて担当医と会ったが、非常に丁寧で親身な説明を始めた。今まで嫁さんから事あるごとに担当医の文句を聞いていたので、あれ?と思ったが、隣の嫁さんも「???」状態のように見えた。そこで、実は親身な担当医からのコメントは以下。

  • 「手術」というのは一生の内に一回あるかないか。じっくりと考えて結論を出してほしい。
  • セカンドオピニオンも積極的に利用してほしい。信頼のできる先生を紹介する。
  • 私個人としては、残せるのであれば脾臓は残したほうが良い。人間に必要だからその臓器があるはず。
  • 術式は「開腹」の他に「腹腔鏡」というのがある。これならば、お腹の傷が小さくて済む。私は今まで何回も腹腔鏡手術を行っているが開腹に比べてリスクは変わらない。
  • この病院では、「脾臓全摘出」「開腹」しか選択肢がない。・・・ボスがそういう意向だから。

前回と言ってること違うじゃねえか!と壮大なツッコミをしたいところだが、担当医は「組織の人間としてはこういうことを言ってはダメなんだけど・・・」と何度も言っていたことが印象的だった。完全に想像だが、この病気の状況で、「脾臓全摘出」「開腹」は選択すべきではないと担当医は思っているものの組織の人間としてはそんなことは言えないので、愛想の無い態度を取って違う病院に行くことを促していたのではないかと思う(実際、この後は違う病院でセカンドオピニオンと手術をすることに決めるのだが、それを嫁さんが担当医に伝えたところ、非常に親身になってどういう観点で術式を決めるべきかアドバイスをもらったとのこと。)。

結果、セカンドオピニオンを受けることに決める(ちなみに、セカンドオピニオンは保険適用外になるので、1時間2~3万程度かかる。たっかいなぁ・・・)。ただ、もう私が休職に入っているにも関わらず振り出しに戻ってしまった。一般的にセカンドオピニオン自体が数週間かかり、その病院で手術するのであれば検査や手術日調整などがあるので、予定した休職期間中にもろもろ終わるのか・・と心配になり始める。

 

2020/5下旬(セカンドオピニオン、手術日調整)

担当医から2つの病院のセカンドオピニオン紹介状を書いてもらい、もろもろ資料を揃えてセカンドオピニオン先に郵送。そのうちの1つの病院を担当医がすごい推していたのだが、郵送して数日後にその病院から連絡があり、「明日来れます?」となる。

紹介状を郵送して1週間ちょっとでセカンドオピニオンを実施。センター長レベルの医師が出てきた。センター長のコメントは以下。

  • 病名は「SPN」で間違いない。悪性ではないだろう。
  • 術式は「腹腔鏡」が良い。腹腔鏡は空気を入れてお腹を膨らませて内部を見れるので、むしろ「開腹」よりやりやすい。傷口も目立たない。
  • 脾臓は残したほうが良い。ただ、膵臓から脾臓に行く太い血管が腫瘍にくっ付いている場合は脾臓を残すのは難しい。これは、追加で詳細なCTを取れば一次判断は出来る。
  • 紹介元の先生とは知り合い。〇〇大学病院で頑張っていると聞いているが、組織のしがらみに苦労しているんだろうなぁ。
  • おそらく、紹介元の先生は脾臓残して腹腔鏡でやった方が良いと思って、ウチの病院に紹介状を書いたのだと思う。
  • ただ、「ウチの病院では腹腔鏡は出来ないのでソチラでお願いします」など、ストレートな表現での紹介状は組織として書けない。なので、非常に遠回しな表現になっているが思いは伝わってくる。
  • ウチで手術するならセカンドオピニオンは打ち切って、保険適用の診療としてこれから診察と手術日の調整に入るよ。

このセンター長の言葉で何もかもに納得したというか合点がいった。嫁さんもそんな雰囲気だったので、この病院で手術することを即決。この場で手術日は2週間後になった。1週間後に脾臓残せるかの詳細CT検査を実施。結果的には脾臓を残せる判断となる。

 

【病院選びの大事さ】

今回の件で、いかに病院選びが重要であるかが分かった。医療ドラマとかでもドロドロしたやり取りはあるが、術式等に病院としてのしがらみがあるとは知らなかった。病院のポリシーに反する術式が望ましいと思っても、組織の人間としてはなかなか言いづらい部分があるのだろう。

なので、自分たちで情報を集めるのはもちろんのこと、複数の病院に意見を聞きに行くことは必須だと思う。セカンドオピニオンが高額であろうと、納得のいく術式を選べるのであれば金額など些事である。

セカンドオピニオンを受けずに、あのまま大学病院で手術していたら後々大きな後悔をしていたと思う。

 

膵臓腫瘍切除】

膵臓の腫瘍切除に関するポイントは「腫瘍の場所」「腫瘍の切り方」「お腹の切り方」「合併症」である。

腫瘍の場所

膵臓の腫瘍は、頭に出来るか、尻尾に出来るか、で大きな違いがある。今回は尻尾に腫瘍があり、膵臓単体で見ればただ切り落とせばよく、後は脾臓を残せるかどうかが焦点である。

一方で、膵臓の頭の部分に腫瘍があるとかなり厄介な状況となる。膵臓頭部は十二指腸や胆管、胃も隣接している。そのため、腫瘍切除とともに、十二指腸等も切除し繋ぎ合わせる、ということが必要で手術の難易度も上がるとのこと。

医師に診てもらうたびに、「腫瘍の位置が尾部で良かったですね」と言われるレベル。

 

腫瘍の切り方

以下3パターン。

  1. 脾臓全摘出:膵臓の腫瘍と共に、脾臓脾臓に繋がる血管も切断する手法。昔はこれが主流だった。また、膵臓がんの場合は基本的にこの手法となる。
  2. 脾臓温存:今回選択した手法。脾臓を温存しつつ、膵臓から脾臓に繋がる血管も残すというもの。もし、その血管が残せなかった場合でも、脾臓は胃からも血管が繋がっているため、脾臓自体は生き残れるとのこと。最近はこの手法も多くなっているっぽい。
  3. 腫瘍部分のみ切除:上記2つはいずれも腫瘍が始まっている部分から後ろを切り落とすというものだが、この手法は腫瘍をなぞるようにして切り落とすというもの。あまり話題に上がらないし、合併症の確率も上がるので、基本的には本手法は取らないのだろう。

 

お腹の切り方

これは既に上述しているが以下2パターン。

  1. 開腹:従来のやり方。お腹(ないし胸)を縦に切りつつ、必要に応じて横にも切る。画像検索してもらうとわかるが、なかなかの傷跡になる。
  2. 腹腔鏡:今回選択した手法。へそ等の数か所に小さな切り口を開け、そこから小さなマジックハンドのようなもので手術を実施。お腹から何かを取り出す必要がある場合には、下腹部を横に切り、そこから取り出す。この下腹部の傷口は、パンツを穿けば見えなくなる。

 

合併症

この件でいう合併症は、「手術や検査の後、それが起因となって起こる病気」のこと。

膵臓の腫瘍切除で一番発生頻度も高く怖いのが、「膵液漏」である。膵臓の消化液は内臓の中でも一番強いらしく、それが漏れると他の内臓を損傷させてしまう。センター長が言うには、手術がどんなにうまくいっても2~3割の人は膵液漏になってしまう。特に若い人は消化液の分泌が活発なので、膵液漏になりやすいとのこと。

 

【次回】

次回は手術当日とそれ以降の話を書く。

 

その②に続く↓

takerururu.hatenablog.com

 

*1:別記事で私の顔面麻痺について書いているが、私的大病はそれ。

*2:40歳とかを超えると自治体や保険組合から補助が出ることが多いっぽい。

*3:ちなみに、この2日後に私は顔面神経麻痺を発症して、私は私で大変な状況になる。。別記事参照。