調査役から一言

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【考察】バジリスク~甲賀忍法帖~

考察というより感想に近いか。学生の頃からアニメは数多く見てきているのだけれど、「バジリスク甲賀忍法帖~」は見たことがない。評価が高いのは知っている。でも、忍者、時代劇、劇画タッチ、GONZO、何か暗そう、というわけで守備範囲外だ。という今日この頃なるも、同じ職場の同志から、「バジリスク見てほしいんですねぇ」と言われ、なんやかんや視聴。なるほど。傑作。(未視聴だった自分を)猛省。以下考察とツッコミ。

甲賀忍法帖

甲賀忍法帖

  • 発売日: 2018/06/06
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

 

 

 ストーリーの入り口

甲賀と伊賀、数百年の因縁があるものの、服部半蔵による「不戦の約定」のおかげで互いの関係性を保っていた。が、徳川家康は、この不戦の約定は解き、徳川三代目を決めるための代理戦争として、甲賀/伊賀の10人衆を戦わせることを決める。

「えっなんで?」と思いつつ、すぐに内容を受け入れた甲賀/伊賀の頭領達にも違和感を感じたが、この時代の将軍からのお達しであれば、もはや意味なんて考える必要はないのかもね。

 

 キャラクターの多さ

 甲賀/伊賀の10人衆ともなれば、合計で20人である。本作品が全24話と考えると1話毎に1人いなくなるくらいのペースでないと物語の着地ができない。なんともキャラデザ泣かせである。実際、かなりのハイペースで人が死んでいくが、各々が生き様・死に様の見せ場を作りつつ、何かしら爪痕を残して散っていく。もちろん、濃淡はありつつも、非常にバランスよく各キャラが活躍する。

と言いつつも、地虫十兵衛は何か爪痕を残したのだろうか。。今度、地虫十兵衛について個別に考えてみよう。

 

 「GONZO」の奇跡

 本作の制作会社は「GONZO」である。・・・形容しづらいというか、表現には気を付けていきたいのだが、非常に絶妙な何とも言えないクオリティの作品を世に出すことが多い印象を持つ(いや、個人的には好きよ!)。本作を観て、やればできるじゃない!と終始感嘆していた。GONZOは、後半から収拾がつかなくなる作品が多い中、本作は最後まで軸がブレず、ラストもこれ以上のないものであった。たぶん、これ以上の作品は出てこないだろう(いや、褒め言葉よ!)。

 

OPテーマ・EDテーマ

OPテーマは陰陽座の「甲賀忍法帖」。これ以上なく本作のテーマと調和し、作品の看板を背負うにふさわしい曲である。EDテーマは水樹奈々の「ヒメムラサキ」「WILD EYES」を各エンディングの状況に合わせて選曲されている。

というか、私が中見出しでこんなことを書かなくても十二分に良さは世間に伝わっているのだが、私がここで言いたかったのは、「WILD EYES」のジャケットの水樹奈々が若けぇなぁ、ということである。

WILD EYES

WILD EYES

  • 発売日: 2013/12/25
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

総評

 GONZOWILD EYESをこの記事では言いたかっただけなのだが、これでは締まらないので、本作の総評を。

上述したようにキャラクターが多い中、非常にうまく話が構成されている。人が死ぬ際、その人の回想シーンになる演出が多く見受けられる中、本作では(室賀豹馬を除き)ほぼ回想シーンがない。そのおかげで、視聴者は数少ない会話シーンからその人がどのような人間関係でどのように生きてきたのかを想像することになり、作品の伸びしろや可能性を拡げている。作画に関しても、劇画タッチで多少のクセはあるが、15年ほど前の作品とは思えず、2019年現在と比較しても遜色のない出来になっている。

脚本/演出/構成/作画/美術/音楽が一体となり、終始一貫してブレない仕上がりになっており、アニメ史に残る、後世に伝えていくべき作品であると考えている。