調査役から一言

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【アニメ感想】かくしごと(評価レビュー:A-)

かくしごと、視聴完了。考察というか、評価や感想を書いていく。

 

最近のアニメの中で、高評価だったので視聴開始。事前知識無しで観始めたのだが、冒頭数十秒、「ん?これ久米田か?」。以下総括。

  • 伏線回収を確りと行い、1クールでキレイに収めた良作。
  • 特にOPとEDの色彩と演出が素晴らしい。
  • 久米田色は薄いので万人受けすると思うが、些か物足りなくもある。

さよなら絶望先生以来の久米田原作のアニメを観た。内容はいつもの社会風刺ではなく、漫画業界という範囲に絞った上で毒もマイルドになっている。アニメ制作は「亜細亜堂」。久米田と西尾維新原作のアニメ制作会社は「シャフト」と相場が決まっているのではなかったのか・・・。でも主人公の声優は神谷でいつもの通り。キャラデザも原作通り。久米田が書く女の子ってデザインが淡白なくせに非常に可愛くて魅力的。なぜだろうか。


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「隠し事」と「描く仕事」

ダジャレですな。そこそこ人気のある漫画家の主人公。ただ、漫画の作風が下品なので、一人娘には職業を隠していた。所謂、娘にバレそうになったり、ごまかしたりしていくストーリー。娘が10歳の時と18歳になった時の2つの軸で物語が並行して進んでいく。主人公が描く漫画が連載していて幸せな10歳時代、一方で退廃的な18歳時代との対比。各話の18歳時代シーンで散りばめてくる伏線。それをラストで全て回収して大団円。無駄なく1クールでキレイに収めた良作である。

久米田が原作ということだが社会風刺などの痛烈な「毒」は本作には無い。そのため、久米田節を期待していると物足りなくはなるだろう。

ただ、主人公が(無意識で)思わせぶりな発言をして、各女性キャラを勘違いさせていく様は本作でも健在。上述したように久米田作品の女性キャラは魅力的なのも相まって、非常に、なんというか、ニヤニヤする。

 

オープニングとエンディングの色彩と演出が素晴らしい


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まず、オープニング。各シーンごとに季節が移り替わるので、色合いの変化を楽しめる。色彩も強めの色を使っており非常に鮮やか。オープニング上で登場する娘はシーンが進むごとに成長していく。最後には芯のある逞しい表情をしており、ひとり立ちしたことを表現しているのだと思う。また、色合いや曲調も明るいのに、なぜか全体的に哀愁が漂っているのも本作のストーリーと調和している。

 


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そして、エンディング。「緑」と「青」を基調とし、これまた強めの色を多用しているので鮮やか。ほとんどのシーンで「柵」と「人物」の構図になっている。登場する人物は主人公と娘であり、”かくしごと”をしているがゆえの心理的な距離を柵を使って表している。ただ、人物の表情は終始明るい。これは”かくしごと”があったとしても2人の絆には関係ないことを示している。最終的に柵を乗り越えるのではなく、そのまま進んだ先にお互いが会えた、というところも2人の”らしさ”を感じる。

 

と、勝手に解釈して「素晴らしいなぁ」と思ってました。

 

 

アニメの終わりとともに原作も最終回を迎えたようです。原作とアニメが同時期に終わるとか、作品として”粋”だよね。