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【アニメ感想】灰と幻想のグリムガル(評価レビュー:A-)

灰と幻想のグリムガル、視聴完了。考察というか、評価や感想を書いていく。

 

アニメレビューサイトで評価が高かったわりに、身内では話題になったことがなかったので視聴。非常に良く出来た作品。タイトルが地味だからあまりみんな手に取らないのかなぁ。もっとみんなに知ってほしい。でも後述するけど全褒めでもないです。

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全てが調和のとれた世界観

そもそもどんな話かというと、異世界転生もので、特殊なスキルも何もない主人公たちが最弱モンスターのゴブリン相手に生死を賭けた戦いをしつつ、戦利品でお金を稼ぎ何とか生きていく、というお話。舞台はグリムガルという一つの町のみでストーリーは進んでいくのだが、背景などの絵のタッチが素晴らしい。精巧に書きすぎず、でも雑ではなく、バランスの取れた味のあるものになっている。また、BGMも小鳥のさえずりや川の音のみを流している場面を多く、絵のタッチと相まって調和のとれた世界観を作り上げている。

 

語り部の主人公の自然な演技が視聴者を引き込む

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この作品は主人公が語り部となって物語を進めていく。この主人公(CV:細谷佳正*1)の声質が何とも心地よい。どこかのサイトに載っていたが、声優コメントで「自然」を常に意識して演技をしていた、とあったが、まさにその通りである。上述した通りの調和のとれた世界観とこの主人公の語りによって、視聴者を「グリムガル」という世界に誘ってくれる。

 

非常に残念なのはストーリー展開。振り幅はすごいあったのに。。

上述したように作品としての掴みは完璧であった。二話まで観た時点でこれはかなりの名作になるのでは、、とも思った。というのも、掴みが良かっただけでなく、今後のストーリー展開の振り幅もあったからだ。どこをメインストーリーとしてどのように着地するのか。本作は1クールなので、軸は絞るはず。以下考察。

  1. ミステリー系
  2. 日常・生活ノウハウ系
  3. 王道系

そもそも、なぜ主人公たちが転生されたのか、転生前は何をしていたのか、この世界は転生者を集めて何がしたいのか等々、最初から謎めいていた(特にこの作品で素晴らしいと思っているのは、その大きな謎があるにも関わらず、上述したように「グリムガル」に視聴者は誘われているので、謎のままでも本作を観る上でさして気にならない、というものだ)。この謎を解明していくミステリー系に進んでいくのかどうか。

もしくは、凡人たちが異世界で生きていく上での衣食住・戦い方等々をどのように工夫して過ごしていくのかを描く日常・生活ノウハウ系で進んでいくのかどうか。この作品の世界観として、このストーリー展開もかなりあると思っていたし、期待も少ししていた。

ただ、残念ながら、王道系であった。仲間との別れや出会いがあり、切磋琢磨しながら能力を上げ、一歩一歩着実に強くなっていき、過去のトラウマを払拭し、前に踏み出す、という流れ(私的にはこれを王道系とここで呼んでいる)。一応断っておくと、決してクオリティが低いわけではなく、むしろこれも良く出来ている。が、序盤に今後のストーリー展開の想像を膨らましつつ大きな期待を持っている中で、王道系に進んでしまい、特に目新しい展開もなく、残念でならない。

 

 

この作りこまれた世界観とストーリーの振り幅的に1クールで終わらせてしまうのは贅沢というか非常にもったいない。まだまだポテンシャルはあるはず。でも二期の話は特に聞かない。んー・・・残念。。

  

 

*1:この前記事を書いた彼方のアストラの主人公も細谷佳正。キャラは違うものの、それぞれの「自然体」を演じるのがうまい人なのかと思う。